<鹿目筒良生誕記念3>
猿野が栗ご飯を作ってくれたのだ。(そしてそれはとても美味しかった)
家に入るなり「筒良」と呼んでくれたのだ。(そして僕も「天国」と呼び返した)
ピタッと隣に座ってキスをすると、笑ってキスしてくれたのだ。(だから調子の乗って深いキスまでしてしまった)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハッ!
僕が喜んでどうするのだ!!
「天国!今日は僕の誕生日なのだ!」
「知ってますよ。だからこうして一緒にいるんじゃないスか」
「そうなのだ!だから天国は僕にワガママを言うのだ!僕はそれを叶えたいのだ!」
「何でまた」
「天国のワガママを叶えたいからなのだ!誕生日くらい僕の言うことを聞くのだ!!」
立ち上がって踏ん反り返りながら言う鹿目にため息一つ。
そして小さな笑みを浮かべて。
「じゃあ膝枕されて下さい」
「それじゃ僕が嬉しいだけなのだ!」
「じゃあ膝枕して下さい」
「それでも僕が嬉しいだけなのだ!!」
「じゃあ抱きしめてキスして下さい」
「だから僕だけが嬉しくなってどうするのだ!!!」
僕が天国を甘やかすから意義があるのだ!と駄々をこねるのに少し笑って。
ホント、何で気づかないんだろうな?
この人これで結構成績優秀なのに。
ま、勉強が出来るからって恋愛上手とは限らないけど。
いつもはこんなこと言わないけど、今回は特別。
今日はアンタの生まれた日だから。
「筒良が嬉しいと俺も嬉しいんだよ」
パチクリと目を見開いた。
天国はゆるやかに微笑して。
「アンタが思ってるよりもずっと、俺はアンタのことが好きだからさ」
伸ばした手、皮の硬くなった指と絡ませて。
少しだけ力を込めて引けばポスンと腕の中に納まって。
愛しい人。
「まったく・・・・・・」
腕を背中に回して、顔を胸に押し付けて。
「天国は僕を喜ばせる天才なのだ・・・・・・・・・」
クスクスと笑って、温かい体を抱きしめる。
いつの間にか、この人の存在を感じることが自然だと思うようになっていて。
思いがけず深い想い。
「Happy Birthday、筒良」
耳元で呟いたら真っ赤な顔で睨まれて。
そして唇を奪われた。
あとはもう貴方の好きなように?
アンタが思ってるよりもずっと、俺はアンタのことが好きだからさ。
2002年9月27日