<キス>





「キス?司馬は俺とキスしたいのか?」
「・・・・・・」(顔を真っ赤にして俯く)
「意思表示はハッキリしろよ。したいならしたい、したくないならしたくない。言葉にしなくてもいいから態度に表せ」
「・・・・・・」(耳まで真っ赤にしてますます俯く)
「別にキスくらいいいけどな」
「!」(顔を上げて天国と視線がぶつかると再び真っ赤になって俯く)
「司馬がしたいって言うならしてやってもいいぜ」
「・・・・・・」(チラッと天国を見る)
「ただし、条件がある」
「・・・・・・・・・?」(首を傾げる)
「そのグラス、外せ」
「!!」(驚いてまじまじと天国を見る)
「キスするとき邪魔だしな。それが出来るならキスしてやるよ」
「・・・・・・」(困ったような顔で思考中)
「キスしたいなら外せ。したくないならそのままでいい」
「・・・・・・」(かなり困り顔)
「他でもない俺とのキスだ」
「・・・・・・」(焦ってる様がありありと伝わってくる)
「意思表示はハッキリって言ったよな?カウントダウン開始」
「!」(マジで焦ってる)
「10」
「・・・・・・」(オロオロし始める)
「9」
「・・・・・・」(わたわたしている)
「87654」
「!!!」(早まったスピードに挙動不審)
「3」
「・・・・・・」(両手を握りこぶしにする)
「2」
「・・・・・・」(深呼吸を繰り返す)
「1」
「・・・・・・」(手を伸ばした)
「ハイよく出来ました」
「・・・・・・」(どうしようもなく真っ赤な顔で天国を見つめる)
「やっぱりオマエ美形だな」
「!!!!」(頬に添えられた手にドキドキ)
「俺好みの顔だよ」



重ねられた唇。(司馬硬直)
それは、午後の授業中の出来事。





2002年8月24日