<バトルロアイアル・ホイッスル>





「英士ーおまえ何だった?」
「鞄からはみ出てるの見れば分かるでしょ。日本刀だよ」
「俺はデリンジャー。二丁拳銃だってさ」
「一馬は?」
「・・・・・・マシンガンだと思う。たぶん」
「うっそ!大当たりじゃん!」
「やったね、一馬。これで生き残る確率は一気に高くなったよ」
「うん」
「まだ始まったばっかだし別行動でいいよな?」
「そうだね。今ならまだどうしようか迷ってる奴が多いだろうから、一人でも大丈夫でしょ」
「じゃあ三時間後にここで待ち合わせにしよう」
「つーかさ、ただ殺すだけじゃつまんねぇじゃん。あ、そーだ!ターゲットとか決めねぇ?」
「「ターゲット?」」
「一人殺すにつき1点だけど、そいつを殺したら3点のボーナスポイント!それぞれに一人ずつさ」
「面白そうだね。俺はいいよ」
「俺も。・・・・・・じゃあ俺は藤代で」
「お、ライバル潰しか。じゃあ俺は須釜だな」
「俺は水野で。でもそいつを殺したっていう証拠はどうするの?」
「首を切って持ってくるとか」
「そんなの『俺はこのゲームに乗ってます』って言ってるようなもんじゃん」
「一馬の言うとおり危険だよね。それに切断するのも面倒だし、持って移動するのも邪魔だしね。ユニフォームとかでいいんじゃないの?」
「じゃあ背中のナンバーな。殺した奴のは全部切り取ってくること!」
「勝った奴の景品は?」
「一番先に死ねる権利とか?」
「最後まで生き残れる権利とか」
「じゃあいらないや、俺」
「俺もいらねー」
「俺もだよ。・・・これじゃゲームにならないね」
「もう単に勝ち負けでいいじゃん!一番多く殺した奴が勝ちってことで」
「分かった。じゃあまた三時間後にな」
「おう、気をつけろよ。一馬、英士も」
「またね、二人とも」
「結人と英士こそ気をつけて」



そう言って笑顔で別れた三人。
はたして狂っているのは誰だったのか。
それとも三人とも冷静だったのか。
きっと誰にもわからない。



マシンガンの音が島中に響いた。



それは史上最悪のゲームの始まりを告げる鐘。





2002年9月6日