<真田誕生日小話・椎真編>





「何で言わなかった」
「・・・・・・」
「黙ってちゃ分かんないだろ!どうして言わなかったんだよ!!」
「・・・・・・」
「あー何?つまりオマエは俺に誕生日を祝ってもらいたくなかった訳だ?だから言わなかった、そういうこと?」
「・・・・・・・・・違う、けど」
「じゃあ何でだよ?ちゃんと理由を言わなきゃ納得しないからね!」
「・・・・・・」
「折角の誕生日だよ!?しかも付き合い始めて初めての!好きな奴の、しかも恋人の誕生日くらい祝いたいって思うのは普通だろ!?それなのに過ぎてから言われたって何にも出来やしない!ちょっと聞いてんの!?」
「・・・・・・・・・聞いてる」
「じゃあちょっとは反論しろよ!俺の納得する理由を言わなきゃ帰さないからね!」
「・・・・・・・・・・・・だって、椎名が」
「僕が何?」
「・・・・・・・・・電話で、その日、黒川たちと遊ぶって言ってたから」
「だから何?真田の誕生日だって知ってたらそっち優先するに決まってるだろ!?」
「・・・・・・・・・うん。俺も、椎名ならそうしてくれるだろうなって、思った」
「じゃあさっさと言えば済む話じゃん。それなのに何で言わなかったんだよ?」
「・・・・・・・・・でも、椎名が俺の誕生日だからって、黒川たちとの約束破ったりしたら、黒川たちが嫌な気持ちになるだろうなって」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・そういうの、ヤだから」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・俺だって、そういうことで、英士や結人と気まずくなったり、したくないし」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・誕生日なんて、一つ年取るだけだから、大したことないって、思って」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・だから、言わなかった。ごめん、なさい」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・ばーか」
「・・・・・・・・・?」
「俺たちがそんなことで気まずくなる訳ないだろ。郭や若菜みたいにベッタリくっついてるわけじゃないし。それどころか冷やかされるのがオチだよ」
「・・・・・・・・・」
「そしたら俺は自慢するけどね。俺の真田がどんなに可愛いか、綺麗なのかって」
「・・・・・・・・・」
「とにかく真田の所為で俺たちが気まずくなることなんてないんだよ!オマエの気にしすぎ!!」
「・・・・・・・・・でも、」
「もういい!今度アイツラに引き合わせてやる!それで分からせてやるよ、ケンカすることなんてないってことを!」(マサキは真田のことを気に入ってるから厄介かもしれないけど、真田と二人で過ごすためにはそれくらいどうってことないと内心で思っている)
「・・・・・・・・・」
「それでいいね?ハッキリ言って、俺はアイツラといるより真田と二人でいたいんだから」
「・・・・・・・・・」
「郭と若菜にも今度宣言するからな。真田は俺の恋人なんだから、連れ去る権利を主張してやる」
「・・・・・・・・・椎、名」
「・・・・・・好きだよ、真田。気づいてやれなくてゴメン」
「ううん。・・・・・・・・・俺も、ごめんなさい」
「少し遅れたけど」



誕生日おめでとう。





2002年8月25日