私の家に来るなり、リオは正座をして言った。
さん! 今度、試合見に来て下さい!」





かわいいひと、こっちをむいて





キッチンと、お風呂と、トイレ。それとは別にワンルームがついている私のマンション。
ベッドに座っている私の前で、床に正座をしてるリオ。
「試合って、野球の?」
「はい!」
「どうしたの、急に」
リオと知り合ってからそれなりに経ってるけど、こんなことを言われたのは初めて。
首を傾げてみたら、リオは目を逸らした。拗ねたようにへの字になってる唇が可愛い。
手を伸ばして、ふわふわの髪を撫でて、そこに軽いキスをした。
リオ、可愛い。
「・・・・・・だって、慎吾さんが・・・」
俯いてるリオの顔は見えないけど、ふわふわの間に見える耳は真っ赤になってる。
さんが試合見に来てくれないのは・・・・・・俺のこと・・・・・・・・・あいして、ないから、だって・・・・・・」
小さな小さな、悔しそうな声。
何を言われるのかと思っていたんだけど、つい笑ってしまった。
「リオ、可愛い」
ベッドから降りて、正面からリオを抱きしめる。ふわふわの髪がちょうど顎の下に来るように。頭がちゃんと抱えられるように。
何だかリオはちょっと暴れたけれど、でもすぐにおとなしくなった。
可愛い可愛いリオ。リオの願いはどんなことでも叶えたくなっちゃうから不思議だわ。
「今度試合、いつあるの?」
腕の中でリオが顔をあげる。キラキラ輝いてる瞳に、キス。
「来てくれるんすかっ!?」
「リオが出るなら、行ってあげる」
「今度の試合は一・二年で組むから出るっす! だからさん!」
「うん、行ってあげる」
リオのふにふにのほっぺを、私のとくっつけて。
嬉しそうに笑うリオに、心がじんわりと癒されてく。
リオ、可愛い。大好き。

「何着ていけばいい?」
さんならどんな格好でもキレイです!」

自信満々で言い切ったリオのほっぺに、音を立ててキスをした。





2006年1月28日