可愛いものが好きなの。それ以外に理由なんてないわ。





かわいいひと、こっちをむいて





「じゃあ、俺が可愛くなくなったら、さんは俺のことも嫌いになっちゃうんですか?」
「そうね、リオがムキムキのマッチョになっちゃったら、きっともう目もくれないわ」
「・・・・・・俺、身体は鍛えたいけど、マッチョにはなりたくないっす」
複雑そうに言うのは、ふわふわ髪のリオ。高校一年生の男の子。
クォーターらしくして色素が薄くて、素直で純粋培養で育てられましたって感じの箱入り天使。
一応名門野球部に在籍しているらしくて結構いい身体をしてるみたいだけど、今のとこ、私とリオはそういった関係じゃない。
だってペットは愛でるものでしょ? ハグしてキスして、抱きしめて眠るの。
ご主人様を癒してくれるのが、ペットの一番のお仕事だわ。
「リオはそのままでいいのよ。ずっと可愛いままでいてね」
ふわふわの髪にキスを送る。さっきシャワーを浴びたリオは、私と同じシャンプーの匂い。
あ、ふてくされた顔も可愛い。じゃあサービスしちゃう。ほっぺたにもチュウ。
「・・・・・・さん、俺のこと男だと思ってないでしょ・・・」
「だってリオはペットだもの」
「俺だって男なんすよ?」
「うん、知ってる」
「じゃあこんなことしないで下さい」
リオはそう言うけれど、でもリオは本当に気持ちいいの。
抱きしめるとふわふわで、あったかくて、とげとげの心が癒されるのを感じるの。
「リオ」
「・・・・・・何すか?」
「大好きよ」
引っ張って、ぎゅってして、可愛いことを言う唇にキスをする。
滅多にないご褒美に、リオは色白の顔を真っ赤にして。
すねたように、そっぽ向いた。

ね、分かるでしょ?
私やっぱり、可愛いものが大好きなのよ。





2006年1月28日