だいすきなだいすきなお兄ちゃん。
いつまでも一緒にいてね?





リトル・ロマンス





ようちえんから帰ってきて、そのあとツキヤちゃんと公園であそんでいたら岳人お兄ちゃんにあった。
岳人お兄ちゃんはのおうちのおとなりさん。
おかっぱで、あかるくて、やさしいお兄ちゃん。
「よっ。今帰り?」
「ううん。ツキヤちゃんとあそんでたの」
「ツキヤちゃん? それってスミレ組の?」
「うん。でももうかえっちゃった」
「そっかー。じゃあ俺と帰ろ?」
「うん」
そうして岳人お兄ちゃんと手をつないで帰った。
カラスのなき声をマネしてみたら岳人お兄ちゃんににてないって言われた。
(岳人お兄ちゃんがやったのはすごくにてた!)



岳人お兄ちゃんはよりも背がたかくて、見上げるくらいに大きい。
でもってすごく高くとんだりするから、岳人お兄ちゃんはもっともっと大きく見える。
なんだか鳥さんみたい。そのうちとんでいっちゃいそう。
「じゃあそのときはを背中に乗せて飛んでやるよ」
「ほんと? 、空とべるの?」
「飛べる飛べる。俺が飛ばしてやるよ」
そういって岳人お兄ちゃんがのばしてきた手につかまったら、ふわっとの体がういて。
岳人お兄ちゃんのお顔がすごくちかくに見えた。
うわ、うわわわわわ! 、ういてるよ! 地面がしたに見えてお空がちかくに見えるよ!
「今はまだ、これくらいだけどな」
岳人お兄ちゃんがニカッて笑った。
岳人お兄ちゃん、カッコイイっ!



「岳人お兄ちゃん! 、大きくなったら岳人お兄ちゃんのおよめさんになるっ!」
「お? なんだ、は俺が好きかー?」
「うん、すきっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そっかそっか」
「・・・・・・岳人お兄ちゃん、お顔あかいよ?」
お熱でもあるのかな? でもまだ夏だからかぜにはまだ早いとおもうんだけどなぁ。
でもなんだか岳人お兄ちゃん、すごくうれしそう。
「よし、じゃあを俺のお嫁さんにしてやろう!」
「ほんとっ!?」
「ホントホント。俺は嘘つかないって」
「じゃあゆびきりね!」
と目が合うようにしゃがみこんでくれた岳人お兄ちゃんと小指をからませる。
「「ゆーびきーりげんまんうーそつーいたーらはーりせんぼんのーます・ゆびきった!」」
えへへって笑ったら、岳人お兄ちゃんもおなじように笑ってくれた。
これでは岳人お兄ちゃんのお嫁さんだよ! 約束だよ!
わすれたりしたら許さないんだからねっ!



岳人お兄ちゃんにおうちまで送ってもらった。
「またね、岳人お兄ちゃん」
「うん、またなー
岳人お兄ちゃんはそういって、でもちょっと考えてるみたいでむずかしいお顔をした。
「・・・・・・・・・、ちょっとおいで」
ヒラヒラって手をふるからちかづいてみた。
知らない人にはちかづかないけど、岳人お兄ちゃんだし。のしょうらいのお婿さんだし。
なんだろうって見上げたら岳人お兄ちゃんは背をまるくしてかがんで。
のおでこにちゅって音を立ててさわった。
「ま、また明日な、っ!」
まっかなお顔で自分のおうちにかけていく岳人お兄ちゃん。
バタンッてすごい音をたててドアがしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・、岳人お兄ちゃんにチュウされちゃった。
でもいっか。だって岳人お兄ちゃんはのだんな様になる人だもん!
「ママー! 、岳人お兄ちゃんとチュウしちゃったー!」
「あらあら本当? じゃあ今日はお赤飯を炊かなくちゃね」
というわけで、岳人お兄ちゃんのおかげでゆうごはんはお赤飯になった。(お赤飯だいすき! ありがとう、岳人お兄ちゃん!)





<翌日、氷帝学園にて>
「侑士! 侑士侑士侑士ゆうしゆうしゆーしゆーし!!」
「何や岳人。朝っぱらからうっとぉしい」
「俺っ! 俺、とキスしちゃった!でもって将来結婚する約束までしちゃったよ!!」
「ほー。そりゃよかったなぁ。ちゃんってアレやろ? 岳人のお隣さんの幼稚園児(5歳)」
「そう! の肌、つるつるでスッゲー柔らかかった! あーもぉ〜〜〜〜〜っ!!」
「(肌ってことは唇にキスしたんやないんか。意気地なし)のた打ち回んなや。それにしても岳人、ちゃんが16歳になったとき自分26歳やで。それまで待てるんか?」
「待つっ! のお婿さんになれるんだったらいくらでも待つ!」
「・・・・・・・・・こんのロリコンが」
「うっせ! そんなこと言って後で後悔するからなっ! はめちゃくちゃ可愛いんだから!」
「あーハイハイ」
「もし将来、が今よりももっといい女になってたら土下座してもらうからなっ!」
「ハイハイ(勝手に言っとれ)」



しかし十数年後、その勝負の軍配は岳人にあがったとか。
花嫁を口説く跡部の隣で、真っ白なタキシード姿の岳人に土下座する忍足の姿が見られたらしい。





2003年4月19日