山吹の覇者〜ご機嫌をとろう編〜
「ど、どうしよ南〜! がめっちゃ不機嫌だよ!怒ってるよ!」
「な、何でだ・・・? さっきまでは普通に仕事をしてたよな・・・?」
「というかさんの不機嫌オーラに当てられて、覇者の間に入れないんですけれど・・・・・・」
「後にした方が懸命だぞ、室町」
「せっかく作ってきたアップルパイが冷めちゃうデスー!」
「・・・・・・・・・チッ」
覇者様、不機嫌続行中。
「・・・・・・・・・・がものすごく不機嫌らしい」
「が? 今の電話、山吹からだったの?」
「あぁ。南から『何か心当たりはないか?』と」
「うーん・・・・・・・・・乾、何かある?」
「・・・・・・そうだね・・・」
(先日提出した報告書が悪かったのだろうか・・・・・・?)
(一昨日、仕事の間にお茶に引き止めたのがいけなかったのかなぁ?)
(用のノートを処分しなかったのが不味かったのかな・・・?)
「まだまだっすね、先輩タチ」
覇者様、不機嫌続行中。
「兄さん! さんが不機嫌なんだって!」
「が不機嫌? 杏、今の電話は誰からだったんだ?」
「山吹の室町君。何か心当たりはないかって」
「心当たりか・・・。お前たち、何かあるか?」
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
(やはり例の仕事の処理が甘かったのか・・・・・・?)
(この前デートに誘ってみたのが悪かったのかしら?)
(でもあの煎餅、美味しかったし・・・・・・・。さんも美味しいって言ってくれてたから別にあれじゃないと思うんだけどなぁ・・・・・・?)
(や、やっぱりリズムに乗ったのが悪かったのか!?)
覇者様、不機嫌続行中。
「・・・観月さん・・・・・・・・・」
「何ですか、裕太君」
「山吹のさんが不機嫌らしいんですけど、何か理由を知らないかって東方さんが・・・・・・」
「君が不機嫌? 珍しいですね、彼が感情を表に出すだなんて」
「観月・・・・・・オマエ何かやったのか・・・?」
「失礼なこと言わないで下さい。赤澤や柳沢はどうなんですか?」
「「「「・・・・・・・・・」」」」
(明日の仕事の件、君の許可をもらっていますからそれということはないですよね・・・・・・?)
(兄貴のことで相談に乗ってもらったのが迷惑だったのかも・・・・・・!?)
(あの和菓子が気に入らなかったのか・・・?)
(眼鏡を外した顔が見たいって言ったのが悪かったのかもだーね!?)
(差し入れしたクッキーは美味しかったって言ってたからそれじゃあないね? クスクス)
覇者様、不機嫌続行中。
「千石から、電話で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・が不機嫌らしい・・・・・・」
「「「「「俺じゃない(です)!!!!!」」」」」
「ウス」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜俺でもない!」
「「「「「それ、めちゃくちゃ嘘っぽい(です)!!!!!」」」」」
「ウス」
(何だ?何が悪かったんだ? 先週押し倒したことか? それとも日曜にキスしようとしたことか? それとも一昨日抱きしめたことか? ・・・・・・どれだ!?)
(この前、頬にチュウしたんがまずかったんかなぁ?)
(一緒に遊び行こうって誘ったのが悪かったのか!?)
(跡部を止められないことが悪いんだろうな・・・・・・)
(三日前、偶然会ったときに声をおかけしたのが悪かったんでしょうか・・・?)
(膝枕してもらいたい〜・・・・・・・・・)
(・・・・・・・・・お疲れなのかも、です)
「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」
覇者様、不機嫌続行中。
「・・・・・・・・・これじゃあ明日も出られないな・・・」
覇者様は腹立たし気に舌打ちをした。
テレビではお姉さんが明るい声で告げている。
『明日は日差しと風が強いですから花粉はたくさん飛びます。花粉症の方は気をつけて下さいね!』
完全防備のマスクと眼鏡を買おうかな。
杉と檜で花粉症な覇者様はそんなことを考えながら書類に判を押していた。
春先、覇者様は不機嫌につき近寄るべからず。
2003年3月15日